2004年12月19日
高橋多佳子さんのクリスマスコンサートにかけつけました
いつもながらの素敵なトークと、心の奥深くまで刻み込むピアノの音色と響き
よくも新しいピアノをここまで弾きこなす、その技術にあらためて感動しました・・・
今年、新しく庁舎と併設したホールの事実上のこけら落としのコンサートが、12月19日の17時から長野県の最北端にあたる栄村で行なわれました。栄村は新潟中越地震で大きな被害のあった、小千谷市にさほど遠くないところで、地震の起きた当日は凄い揺れにみ見舞われたとのことです。幸い村としては大きな被害もなかったとのことですが、いまなお、被災され、これから新年を迎える準備もままならない被災地の皆さんのご苦労を思うと胸が痛みます。

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栄村は、人口2602人(男性1239人女性1363人)の905世帯の小さな村で、有名な秘境といわれる秋山郷を控える、いわゆる豊かな自然と温泉資源に恵まれたひなびた村であります。そんな小さな村で、縁あって高橋多佳子さんのクリスマス ピアノコンサートが行なわれました。きっかけというのは、当ホールの会員で相談役でもある内山さんが、高橋村長の「小さくとも輝く栄村将来像、思い切った行政改革」について深く感動されたのと、新庁舎に新しいホールが完成することに伴い、なにか素晴らしいコンサートを考えて欲しいとの相談があり、高橋多佳子さんのピアノの演奏をご紹介することになり、今年の4月16日の当ホール主催のコンサートに教育委員会の広瀬さん、保坂さん達にに来ていただき、素晴らしい演奏をきいて、是非、高橋多佳子さんを栄村にとの実現に至ったものです。いわば、内山さんの橋渡しがあってこその実現といえます。何事においても知らない世界はあるもので、今回は新庁舎に素敵なホールが出来ても、その運営について専門家がいるわけでもありません。私達がホールをはじめてからの経験を微弱な力ながら、ご協力しようと、それがお世話になった方達への恩返しでなるだろうと、快く引き受けたのが栄村との縁であります。私達が右も左も分からないホール運営をここまでやってこれたのも、その道に通じている方の温かい支援のおかげでもあります。

今回は、私達が栄村のクリスマス ピアノコンサートに高橋多佳子さんを紹介できて、心から嬉しく思うとともに、栄村の村民の2602名のうちの250人(実に1割強「一部近隣市当村の方」)の方でホールは満員の盛況で、良い音楽をきく機会に恵まれたことは、主催者の方たちにとっても、本当に喜んでいただける良い仕事が出来たと思います。ただ、今回のコンサートがあくまで序章であり、今後も村民の方達に素敵なコンサートを末永く提供していただくことを切にお願いしたいと思います。これからも新しい村の財産としてのホールを大切にし、素敵なコンサートが行なわれることを願っています。そして、何かお手伝いすることがあれば遠慮なく申し出ていただきたいと思います。音楽がとにかく私達の体、特に脳に良い影響を及ぼすことは、医学的にも実証されていることから、「家庭に素敵な音楽、いつまでも若々しく」をテーマに、日常生活に音楽を聴く機会を設けていただきたいと思います。

さて、前置きが長くなりましたが、当日は私達のホールの仲間の皆さんである、小林 瞳さんの運転する車には、ホールに集合し出発の30分前に参加を急きょ決めた望月保さん、豊科町で内山さんのお知り合いの松田さん、そして、私、長谷川の四名、もう一台は四賀村の林さんの運転する車に、奥様と、上嶋ご夫妻、そして高山さんの五名の計九名のメンバーで14時30分にホールを出発いたしました。長野道の豊科インターから車の流れも良くて、途中小布施のSAで休憩をとりながら、上越道の豊田飯山インターをおり、飯山市、野沢町を経由し快適なドライブを楽しみ、車中では保さんの?の歌や楽しい会話の中、笑い声が溢れていました。道中の景色ですが、新潟県の妙高山などは、本来、この時期はたっぷりの雪を抱いて、本格的なスキーシーズンを迎えている筈でした。しかし、全く雪もなく黒い地肌を出しているではありませんか。戸狩スキー場も同じく全く積雪ゼロ、他もみな同じ状況です。とにかく、今年に限らず、天候の異変は世界的に同じで、日本においても、台風の異常な数の上陸、大雨、地震の被害等、いまに地球はどうなるのだろうかと、少しですが不安が頭をよぎりました。そうこうしているうち栄村に到着し、道の駅で腹ごしらえする予定が16時で食堂が終了していました。何故、こんなに早く閉まるのでしょうか、人が来ないのですかねこの時期は私達にとっては不都合ですが、営業する側は早仕舞いが当たり前なのでしょう。そうこうしているうちに、開場時間も迫り、栄村文化会館に到着し、受付で高山村の福沢さんもメールでコンサートの案内をしたところ、来ていただくことが出来ました。もちろん、高橋多佳子さんの大ファンになったお一人です。そして、教育委員会に皆さんと挨拶を交わし、会場に入りました。

さあ、11月8日(月)に訪れたときのピアノの音色と鳴り具合はどうかなと心配しているうちに、開演です。くしくも臨席に高橋町長が着かれました。いよいよ多佳子ちゃんの登場です。いつもながら、素敵な笑顔とスマートなスタイルのいつもの多佳子ちゃんです。さりげなく弾き始めました。主催者側のリクエスト曲、ベートーヴェンのピアノソナタ月光です。心配していたピアノの響きは高橋さんの技術でカバー、しかし本来の曲のイメージを充分に聴かすには、いささか難しい面もあったが場内はシーンと静まりかえり、曲を弾き終えた時点でため息が聞かれました。そうだ、皆さん高い演奏技術に感心しているんだあと、私は感じたのです。でも、この新しく弾き込みが充分でないこのピアノを、あれだけの演奏がよくも出来るということ、これも、3日掛けで調整、調律をされた斉藤正次氏の功労も欠かせることは出来ません。影で頑張っていただいているみなさんのご苦労を大変なことだと感じている方は、、私達を含めてどれくらいおられたであろう。開演前にアナウンスで高橋多佳子さんが超一流のピアニストであると、アナウンスされていたのが「うん、紛れもなくそうだ」と思いました。

このあと、多佳子ちゃんのトークが村民の方たちの反応がすこぶる良くて、本人も凄く嬉しそうで、見ている私たちも、ああ、良かったなー、溶け込んでいるぞと思わず涙が出そうになりました。演奏者がお客さんの心をとらえた瞬間、頑張るぞという気持ちになる、大きなエネルギーをいただいたも同然です。演奏はバッハの2曲も素晴らしくて、特にシャコンヌはピアノでは初めてで、上手くプログラムを組んだなと感心しました。話が上手いし演奏は凄い、とにかく心が可愛い(表現が少しおかしい?)、休憩の後は名曲のショパンンのノクターン第3番ロ長調 作品9-3 多佳子ちゃんが大好きな曲といっていましたが、名曲が多い中で本当に好きな曲なんだろうなと、そう感じたのは私の素直な感想です。ラストはチャイコフスキーの「四季」作品37bより12月“クリスマス”です。今回のコンサートのタイトルがクリスマスコンサートとあり、ポーランドのクリスマスのお話も含め、いっそう観衆の心もほぐれ、知らないうちに皆さんの心は高橋多佳子の世界にたっぷりと浸りこんで入るようでした。最後に同じくチャイコフスキーの<くるみ割り人形>を演奏会用組曲としてプレトニヨフというピアニストが編曲したものだそうです。彼はチャイコフスキーコンクールで近代曲の演奏を自ら編曲したものを、そのコンクールで演奏したもので、大変な難曲でありながら素晴らしい曲であることは、多佳子ちゃんの解説にも納得しました。そして、演奏に入り凄い曲だなーと感心しきり、私達のホールで弾いていただく候補に挙げたいとも感じたものでした。

あっと言う間のコンサート凄い感動のあと、主催者の挨拶も興奮感が伝わり、その気持ちは充分に理解できましたが、挨拶は開演前にするほうがせっかくの素敵なコンサートの余韻を覚めさてしまうことになり、今後の課題かと思います。何せこのようなコンサートを開催したことが、第一歩であり、これからどんどんと学ぶことも多いかと思います。でも、主催者の教育委員会の皆様を始め、ボランティアでお手伝いをされた多くの皆様にご苦労様とお伝えしたいと思います。今回の高橋多佳子さんのファンになられた方、来年4月16日当ホールでのコンサートにお一人でも来ていただけたら嬉しく思います。帰途、飯山市のいいやま湯滝温泉に浸り遅い夕食を頂き、22時50分無事ホールに到着いたしました。ほんの束の間の時間でしたが、9名のメンバーで結構楽しく過ごせたことを、感謝したいと思います。
さあ、カウントダウンコンサート、ニューイヤーコンサートが待っている。一人でも多くの皆さんに楽しんでいただきたいと思いますので、是非、新年をともに楽しく愉快に迎えましょう。お待ちしています。
長谷川芳治
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