2004年7月3日
第3回アカンサスコンサート
若い演奏家に温かいエールが送られました。
彼らの今後の活躍を期待しています
〜本当に素晴らしいコンサートでした〜

 
2年ぶりにアカンサスノメンバーが安曇野に帰って来ました。本当に嬉しいことです。
昨年は、このコンサートを主催している安曇野音楽企画の佐藤暢夫君が、信州大学医学部をめでたく卒業し、長野市内に医療機関に勤務したことと、業務が多忙による時間的な余裕が無いために開催できなかったのですが、今年の4月に信州大学医学部に就任することになり、多少なりとも時間の調整がついたことで開催することになった。
また、チェンバロの脇田英理子さんが今秋にヨーロッパ(スイス?)に留学する予定で、多忙な中、時間を調整してくれての実現である。今回が区切りのコンサートとなるらしいが、出来る限り安曇野に今後も来ていただけることを願っている。

そもそも、このメンバーのフルートの北川森央君が主催者である佐藤君と友人関係ににあり、東京芸大のメンバーがそれぞれ、友人を伴いコンサートの運びとなったものである。第1回目がフルートとチェンバロ、2回目がこの二人に歌が入り、そして今回がオーボエの宮村和宏君が加わり、友情出演に佐藤君が加わった。
さて、コンサートの話をする前に少しアカンサスチェンバープレイヤーズの紹介をしてみたい。
東京芸術大学バッハカンタータクラブに所属する若手演奏家を中心に結成されたバロック音楽を中心に演奏活動を行っているグループである。これからのこういった若手の演奏家が演奏活動をする機会に多く恵まれ、活躍されることを願っている。

さて、今回のコンサートの内容に触れてみたいと思う。
プログラムはオールバッハであることである。(J・Sバッハ 1985-1750)
私がホール運営に携わるなんてことは正直考えもしなかったことから、当然クラシック等は全く無縁の世界であり、コンサートに誘われても聴きに行こうとする気すらおきる筈もなかった。
しかし、不思議なものでクラシックとは難しいものと思い込んでいたものが、良い音楽を聴くことが、どんなに精神的に安らぎ、心地よい世界に浸り、心が癒されるということが理解出来るようになった。
ジャンルのいかんに問わず、その楽器のもつ独特の音色に感動すら覚える。私の住んでいるこの地域に音楽の普及に多少なり貢献が出来たと思う反面、まだまだ町の行政を司る方達の無関心さが文化薫る穂高町の名前が寂しく、むなしく感じさせられる。

話が随分と横道にそれてしまったが、本題に戻るとしよう。
アカンサスのフルート奏者である北川君の音色を何回か聴いているうちに、その澄んだ音色と、低音から高音にいともさらりと吹き分ける技術はたいしたものだと思った。木管から流れる柔らかな音色、やはりバッハには木管の柔らかで繊細な音色がぴったりとはまる。
バッハの作品の中でフルートの占める位置が極めて高いのは、バッハがフルートを吹いたのか分からないが、身辺にきっと素晴らしいフルートの名手が居たに違いないことは推測できる。
本日のソナタの演奏では、少し急がせるような単音のメロディーに始まり、やがて和音の響きかとも覚えるような心地よい流れが、そして高音にのぼりつめるフルートの音色が、特に低音から高音をよどみなく行き来する、そして、ささやくように語りかける、何かを・・・・・

バッハの曲は、私はヴァイオリンの曲しか余り知らなかったのだが、今回のプログラムのソナタから、平均律クラヴィーア曲を聴いて、バッハも好きになった。やはり良い演奏を聴くとその曲と作曲家が余計に偉大に思えるし、脇田さんのチェンバロと演奏と絶妙に溶け合って、一段と演奏を盛り上げる彼女の演奏技術が、秋からの留学によって一段と磨きがかかり、次の帰国記念コンサートでの再会が本当に楽しみになってきた。
オーボエの宮村君の演奏を、今回始めて聴いたのだが、さすが実績が示すとおりの素晴らしい演奏であり技術の高さを感じた。
やはり、コンサートは当ホールくらいの大きさが、演奏者の息遣いから、表情を目の前でみられることで、コンサートの盛り上がりを一段と増してくれる。
今回のコンサートの模様を次の画像で味わって欲しい。今回来れなかった皆さん、トップにも演奏の画像と動画を是非とも見て頂き、試聴して下さい。
そして熱いエールをこの若い演奏者にお願いいたします。
長谷川芳治