2005年5月15日
感動の渦に包まれた島田真千子・久元祐子デュオコンサート
ホール内にヴァイオリンとピアノの音色が響きわたりました。
ヴァイオリンとピアノの競演そのものでした。気合の入った演奏はさすがでした・・・
前日入りした、島田さんと久元さんのリハーサルが行なわれ、普段競演した事のない二人の演奏に関心を抱いた方は私ひとりではなかった思います。先輩格の久元祐子さんの胸を借りるつもりで、穂高に来るまではリハーサルを3回にわたり行なわれたそうです。

調律士の佐野さんが来られるまでは、ヴァイオリンとピアノの位置決めが難しく素人の私が口を出すことを控え、プロ同士で納得の位置を決めてもらうため、耳の良い調律士さんのお知恵を借りることになりました。不安だった位置決めもコンサートの本番の調律を終えた佐野さんのアドバイスでスンナリ決まりました。大体が和波さんのコンサートにおける位置とほぼ同じでした。ヴァイオリンの音色が最大限にホールの音響を生かせるかどうか、立つ位置が大きな課題であることは確かです。島田さんも大いに納得されて、私もほっといたしました。ピアノの位置があまりにも気になっていたからです。さあ、リハーサルが始まりました。ピアノの位置決めが定まらないときと比べ、澄んだヴァオリンの音色がホール内に思いきり気持ちよく響きわたりました、これこそ、ヴァイオリンとピアノの競演です。初めての二人の真剣勝負といえばたいそうですが、それくらい二人の演奏に対する気持ちが顔の表情から汲みとれます。いつものコンビが演奏するのを聞くのも素敵ですが、今回のように初顔合わせの演奏も、新鮮味があって、ピリッとした最高の緊張感の中での演奏は聞いてみても感動します。ああ、2人の演奏はきっときょう来られる方の心に響くコンサートになるだろうと確信しました。

さあ、いよいよ本番です。心配していたお客様も予想以上に来ていただきました。所用で来れない会員さんも多く、他にもいろいろと行事も重なり、またコンサートの開催の決定以降、当日までに日数が短かったことも影響がありましたが、ギターの小林先生を始め門下生の皆様のおかげもありました。ピアノソロから始まりました。何だかきょうは久元さんも気合が入っていて、いつものトーク入りのコンサートと違い、凄い気迫を感じました。もちろん、素晴らしいピアノ演奏であったことは間違いありません。そしていよいよヴァイオリンとピアノの競演です。本日の注目は何と言ってもべートーヴェンのヴァイオリンソナタの「クロイツェル」であることは皆さんもご承知のとおりです。モーツァルトも素晴らしかったし、もちろん島田さんのバッハの無伴奏のパルティータは、[新年の演奏が納得しなかったで、その分まで真剣でした」とのことでした。そして、ラストが問題のクロイツェルです。

二階席でデジカメを構えながらファインダーから覗く2人の表情は本当に怖いくらいの気迫と真剣な眼をみて、感動するとともに「これは2人の間違いなく真剣勝負」であり「いい意味での喧嘩だ」と感じました。30分以上にわたる演奏が本当に短く感じる、ヴァイオリンとピアノの響きは、ホールの天井からまるで素晴らしい音色が舞い降りてくるようでした。そして、思わずその音色から体の震えを感じるとともに、何だか涙が出るくらい感動の渦がどっと押し寄せるような感覚でした。私の口から言うのもなんですが、このホールは本当に素晴らしい音響であることに改めて気づきました。ヴァイオリンが最大限にその音色を生かすために、最高の楽器とそれを最大限に生かすホールの音響、そして演奏者の実力、今回は三者が揃い皆さんが納得の最高のコンサートでした。鋭いほどの目つきから演奏が終わると、お二人の顔から笑顔が見られ先輩格の久元さんの表情からも満足された様子が伺われました。最後にアンコールでは
エルガーの「愛の挨拶」で幕を閉じました。

受付では久元祐子さんのCDと著書の販売も行なわれ、気軽にサインに応じ会話をされているのを見て、温かい普段のままの姿を嬉しく眺めていました。お二人さん本当にお疲れさまでした。今回のコンサートに来ていただいた皆さん、本当に有難うございました。最後にお2人を囲んでの交流会も和やかな中で、本当に楽しそうに家内の手料理を味わっていただきました。

最後に、今回のコンサートが島田真千子・久元祐子の組み合わせが最初であり、今後機会があれば是非とも聞きたいとの声が多くあり、是非とも多忙なお二人の日程を調整して実現したいと思います。運悪くこの素晴らしいコンサートにお越し出来なかった皆さん、素晴らしい演奏の模様を画像で想像してください。そして、楽しそうな打ち上げの模様もご覧下さい。
長谷川芳治
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