10月10日三連休の最終日、下諏訪町にある「やまびこホール」で行われた「北欧音楽祭すわ2005」にホールのスタッフの川上さん夫妻とスタッフの小林さんと参加しました。一昨年から2回目の参加になります。
今年で北欧音楽祭も第7回目を迎えられ、年々コンサートも充実し一流の演奏家と、町民の皆様と一体となった素晴らしいコンサートになっています。今年の7月にはフィンランドの「クフモ音楽祭」に北欧音楽祭に携わる関係者の皆さん達が訪問されて、その音楽祭のメンバーの皆様と交流をされ素晴らしい体験もされたそうです。私達のホールでも縁あって3年前にフィンランドの民族楽器の「カンテレ」のコンサートも行いました。そして、スウェーデンのマルティン・ホーゲルさんのギターコンサートも行い好評を博しました。下諏訪町とフィンランドの交流は100年にも及ぶ深い歴史があるそうです。フィンランドと下諏訪町が森と湖の織りなす光景が似ていて交流が深まったそうです。その歴史を述べるには紙面が足りなくなってしまいます。とにかく、規模は違いますが、コンサートの企画運営の勉強もかねての参加です。
さて、コンサートですが、さすがに知名度と技術的にも一流で、ピアニストとしても有名な館野 泉さんのコンサートとなるとホールは開場から人が押しかけ、ホール内は左手だけのコンサートは満員になりました。私達もピアノを少し習っていますが、左手だけの演奏でどれだけ曲が弾けるのかとの正直いって興味深さが伴いました。
そして、プログラムの第1曲目のバッハ/ブラームス編曲 シャコンヌ BWV1004が始まりました。この曲はバッハの芸術の最高峰に位置される、パルティータの第2番目の最後におかれた長大なシャコンヌは、ヴァイオリンの名曲として類稀な傑作としして後世の数多くの作曲家を魅了し、彼達によってさまざまな編曲が生み出されました。この左手のためのシャコンヌは、バッハの原曲に非常に忠実な編曲となっています。さあ、演奏が始まりました。この名曲をブラームスがヴァイオリンの名曲シャコンヌをどのように左手のために曲に編曲したのでしょうか。私達の想像を遥かに超える曲になっていることをまざまざと知らされました。さすがに天才と言われる作曲家はこうも違うものかと唖然となりました。演奏が始まるやすごい速さで左手鍵盤の上を動き回ります。表現が上手く出来ませんが、とにかく眼をつぶっていると本当に左手だけで弾いているのとの感覚にとらわれました。左手は普通は伴奏という形で演奏しますが、右手のメロディー部分まで左手が充分過ぎるほどに動き回ります。そして演奏が終わるや否や観衆は拍手の渦とその後溜息が混じり合い素晴らしい演奏を証明されました。
続いて演奏されたスクリャービンの左手のための2つのお小品は、彼がモスクワ音楽院に在学中にピアノの練習のし過ぎで右手を痛めて演奏できなかった時期があり、その間に書かれたのがこの作品(1894年作)だそうです。この若き日のこの作品はショパンの影響を受け、ロマンティックな情緒があふれている。特に左手の高度な技術が要求されることから、両手で演奏されることも多いが、弾いている手が一本であるか二本であるかを忘れてしまうほどの大きな音楽の力を感じさせられる曲であった。本当に左手だけでも両手で無いとピアノ演奏でないという観念は、この演奏を「聴いて考え直させられた。左手のための書かれた代表作はラヴェルの『左手のためのピアノ協奏曲』と並んで代表的なピアノ曲にも感心を抱かせるに充分な素晴らしい演奏であった。
この後演奏されたノルドグレンの小泉八雲の『怪談』によるバラードよりの「振袖火事」「衝立の女」「忠五郎の話」は現代的な作風に理解しがたく館野さんのお話の方に耳が注がれた。同様に林 光さんの「花の図鑑・前奏曲」もしかり、とにかく私達素人には難しい曲としか思えなかったのは、始めの2曲が余りにも強烈なインパクトを受けたせいかもしれない。やはり故人の大作曲家の曲の偉大さが、心底まで感動した名曲として心に鮮明に刻み込まれまた。アンコールに2曲演奏され、2時間にわたる演奏に大拍手のなか終演いたしました。館野さんの回復がお会いする前の予想とは全く違い、右手でマイクを持たれたりご自分で譜面をめくれるまでに回復されていて、花束贈呈でも右手で握手されるなど、左手の演奏に情熱と不屈の精神力をお持ちの偉大なピアニストだと改めて感じました。
さあ、館野さんとお話をする機会の交流会の開場の「マリオ」にバスにて移動いたしました。今回の音楽祭の関係者のご挨拶と館野さんもお元気な声で挨拶をされ、4年ぶりのご対面を懐かしく少しの時間でしたがお話も出きました。記念写真を添付しておきます。館野 泉さんの右が小澤幹雄さん左が下諏訪町長さんです。さて、私達のテーブルには、ホールのスタッフの川上さんご夫妻と、フィンランド旅行で同行されたという谷さんと子息と、そして諏訪響の指揮者の保坂さんご夫妻、小口教育員長、そして、これも一昨年当ホールの早春賦祭りコンサートに来ていただいた先生ご姉妹と、本当に和やかな会話の中で時間の立つのも早いもので、中締めの乾杯のあとホール駐車場に戻りました。
帰りの高速もスムーズに走り、ホールには23時半に到着いたしました。
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